混ぜて美味しい……?

最近、家でココアをよく飲む。
小分けではない大きなジップつきの袋に入ったココアを、ここのところ常備してある。ティースプーンで山盛り4杯すくってカップに入れる。
ココアには既に砂糖が入っているのだけど、甘党の自分には少し物足りないので、更にティースプーンに山盛り2杯、白砂糖を投入。
しかし、これだけで終わらない。この状態に、市販のシナモンパウダーをどばどば入れる。少なくとも、砂糖で白くなったカップの中身が、シナモンで見えなくなる程度に。
お湯は一気に注がず、かなり少なめに入れ、スプーンでかき混ぜる。すると、ココアの粉と砂糖とシナモンが混ざってとろとろの状態になる。
ならなければもう少しお湯を足し、なったらそのまましばらくかき混ぜる。

そして、混ざったなと思ったところで、飲みたい量までお湯を入れ、お湯にソース状になったココアを溶かしていくように、ゆっくりかき混ぜる。
こうして出来上がったものを満面の笑みを浮かべて飲む、というのが、何故だかよくわからないのだけど、自分の中で妙に楽しい。
口をつけるたび、カカオとシナモンの香りが混ざり合って、鼻の中を通っていく。甘くて香りの良い、極上の飲み物を満喫する時間は、実に贅沢だと悦に浸る。
家族は「そんな甘そうなのよく飲めるね……」と冷ややかだが、気にしない。自分さえ満足できれば、はっきり言ってそれで良いのだ。

先日、家族が友人からインスタントコーヒーをもらってきた。よくある瓶に入った粒状のもので、早く使いきらないとすぐ風味が落ちてしまう。
使いきれずに時間の経ったコーヒーを飲むと、何だかいつもやるせない気分になるので、正直言えば、この手のインスタントコーヒーを自分で買うことはないのだけれど。
美味しく飲むにはどうすれば良いかを考えた末、素敵なアイディアをひらめいた。

ティースプーンで山盛り4杯のココア。同じく、ティースプーンに山盛り2杯の白砂糖。それが見えなくなるくらい、どばどば入るシナモン。
そこでおもむろにインスタントコーヒーの瓶を手に取った。

「ちょっとちょっと! 何してるの!?」
普段どおりココアを飲むのだろうと思った家族が、すかさず止めに入る。まぁ、それも想定通りではあるのだけれど。

「どうせもう開けちゃったんでしょ? 新しい可能性を模索してみようと思って」
そう答えると、案の定、想像通りの待ったが入る。

「だって、ココアにコーヒー入れたって絶対美味しくないって!」
やれやれ、これだから素人は困るのだ。
コーヒー風味のチョコレートというものが、世間にどれだけ広まっているか知らないのだろう。それがどれだけ美味しくて、どれだけのロングセラーになっているかということも。

家族の反対を鼻で笑い、嘲笑うかのように粒状のコーヒーをどどどっと入れる。軽量はせず、ほぼほぼ目分量。家族から悲鳴が上がるが、それも一切無視だ。
お湯を少し入れ、いつものようにかき回す。とろとろのソース状になるよう、スプーンでゆっくりと。

……直後、家族から驚嘆の声があがる。

「何、この凄い良い香り……!」
それ見たことかと、得意満面の笑みを浮かべてやる。コーヒー入りのチョコレートが売れる理由は実にシンプル。美味いからだ。
カカオとコーヒーの香りは親和性が高い。更に、シナモンはそのどちらとも相性が良いのだ。不味くなる要素など一切ないではないか。

得意満面でシナモン入りコーヒーココアを飲むと、想像以上に美味い。香りがカカオだけの時よりはるかに良い。
「私もやってみようかな……?」という家族の言葉に対し、勝利宣言のように、ココアとシナモン、コーヒーの瓶一式を差し出す。
美味しいものがあるだけで、日常は妙に豊かだ。